新しい視点の投資信託

先日記事からの抜粋になりますが資産運用についての考え方についてしっかり勉強しましょう。

新NISAの開始を機に、多くの人が投資を始め、S&P500やオルカンといったインデックスファンドが人気を集めている。しかし、それだけで本当に資産を増やせるのか。

「インデックスファンドへの積立は、新手の貯蓄スタイルにすぎない」――そう語る杉村太蔵氏とGOファンド代表 田沼豪氏が対談。インデックス投資の落とし穴や、分散投資のあり方などについて議論する。

これからの投資戦略を考える上で、必読の内容である。

2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、それを機に投資デビューを果たす人が増えて投資信託が身近な存在になってきました。しかし、もっぱら選ばれているのは、米国株の平均的な値動きであるS&P500や、世界の株式市場の全体的な推移を示すオール・カントリー(オルカン=全世界株式)に連動するインデックスファンドです。こうした状況について、どのように思いますか?

杉村氏(以下、敬称略) 率直に言わせてもらうと、インデックスファンドへの積立は資産形成の一部であり、預貯金とほとんど変わらないとしか思えません。厳密に言えば、投資と資産形成は異なるものだというのが僕の持論です。

基本的に、投資とは「この社長さんなら会社を成長させ、きっと世の中をよくしてくれるだろう」と期待して資金を投じるものです。要するに、投資とはグロース株(成長株)を買うことだと思っています。

これまでは定期預金ぐらいしか資産形成の手段は見当たらなかったが、新NISAでようやくS&P500やオルカンにも手を広げられるようになったというだけの話。あくまで資産形成の範疇にすぎず、投資とは呼べないと思っています。

田沼氏(以下、敬称略) 言葉の定義なので難しいところですが、たしかに預貯金も資産形成の一つの手段にすぎないと個人的には思います。S&P500やオルカンへの積立も含め、すべては資産形成ですね。

客観的に見れば、日本人の大半は全資産を日本円にベットして(賭けて)いますが、そのことについてきちんと認識している人はほとんどいないのが現実でしょう。それでも昔は、郵便貯金に預けておくと8%もの利息が得られたときもありました。

ところが、周知の通りで今の時代はほぼ利息がつかなくて、日本銀行がちょっと利上げしたところで、依然として低水準にとどまっています。その一方で、2~3%台のインフレ(物価上昇)が日本でも進行しており、その分だけ現金の価値が低下しています。

利息がほとんど得られない上、インフレによって預けた元金の価値が下がっているので、実質金利がマイナスになっています。こうした状況下で全資産を日本円にベットしているわけですから、大半の日本人は期待値がマイナスの資産形成を続けてきたことになります。

それに比べれば、中長期的には期待値がプラスであるS&P500やオルカンのインデックスファンドへ資金をシフトさせたほうが有効なのはたしかでしょう。S&P500やオルカンに積立投資を行うこと自体は、けっして悪いことではないと思っています。以前に流行した毎月分配型ファンドや仕組み債など、商品性に疑問のあるものと比べれば、インデックスファンドへの積立投資のほうがはるかに健全だと思いますね。

杉村 僕から言わせれば、S&P500やオルカンインデックスファンドのリスクなんて、本当の投資で直面するリスクとは比べものになりませんよ。インデックスファンド程度でリスクを気にするようなら、最初からやらないほうがいい。

田沼 たしかに、2024年8月の株価暴落時には、積立投資をやめて損切りする人が続出したようですね。そういった短絡的な思考を持つ人は、そもそも投資をすべきではないという意味合いでは、杉村さんの意見に強く共感します。

実は、S&P500・オルカンだけで「分散」の効果は期待できない

杉村 S&P500でもオルカンでも何でもいいのですが、新NISAの「つみたて投資枠」で提唱されているのは「長期・分散・積立」ですよね。でも、長期で定期的に資金を投じ続けたら、結局のところ、その取得値はほぼ平均化されるじゃないですか。そうなると、それは投資ではなくて、新手の貯蓄スタイルですよ。果たして、本当に「長期・分散・積立」は有効なのでしょうか?

田沼 適切な投資対象を選んでいるなら、長期投資のスタンスで臨むことは最も重要なことだとは思います。一方で、分散については多くの人が誤解しているように感じます。

世界の株式市場に幅広く投資できるから堅実だと思ってオルカンを選んでいる人が多いようですが、実はあまり分散の効果を期待できません。世界同時株安はけっして珍しくない現象で、米国株が下がれば他の国々の市場にも連鎖しやすいものです。

S&P500にしても、米国を代表する500社に分散しているから個別銘柄に的を絞るよりも安心だと思っているかもしれません。しかし、実際には市場全体が同じ方向に動くことが多いのが現実です。

年金基金をはじめとする機関投資家や富裕層が実践しているのは、株式だけでなく、債券や不動産などさまざまなアセットクラス(投資対象の資産の分類)への分散です。公的年金の原資を運用する日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、このアセットクラスの分散を実践し、安定した運用成績を維持しています。

杉村 GPIFのポートフォリオは公式サイトで公開されていますが、国内株式、外国株式、国内債券、海外債券にきっちり4分の1ずつ分散されていますよね。運用資産額も250兆円を超えていて、まさに分散投資のお手本のような感じがしますね。

田沼 ところが、日本の投資信託の残高ランキングを見ると、上位は米国株に投資しているものがほぼ独占しています。プロがアセットクラスの分散を実践しているのとは対照的に、一般の方々はS&P500やオルカン(米国株の割合が過半)、ナスダックに資金を集中させているという真逆の状況です。

杉村 長期投資やアセットクラスを分散する効果については理解できますが、積立投資についてはどうなのでしょうか?僕にはどうにも理解できないのですが。

田沼 率直に言うと、積立の重要度は3つの中で最も低いと思います。同じ時間をかけて運用する場合、まとまった資金があるなら、一括で投じたほうが積立投資よりも有利です。なぜなら、一括投資は最初から大きな金額で運用をスタートでき、時間をかけて運用できるからです。

ある程度の余裕資金がある場合、預貯金口座に置いたままでは利息がほとんどつかず、もったいないので、一括で投資するのが効果的でしょう。そして、月々の給料の一部を新NISAの「つみたて投資枠」に回していくのが無難だと思います。

巷では、「つみたて投資枠」のみならず「成長投資枠」もオルカンで十分という極論まで飛び交っています。しかし、本当に分散効果を発揮したいなら、もっと他の投資対象に目を向けるべきだということですね。

田沼 そうですね。とにかく株式のみ、それも米国株に偏重している状態は非常に危ういと思います。2023年、2024年と米国株は2年連続で20%以上の上昇を記録してきましたが、これから先もずっとこのピッチで右肩上がりを描くなら誰も働かなくなるわけで、そのようなうまい話はありえません。

実際、2008年9月のリーマンショック後、米国株は大幅に下落し回復には6年以上を要しました。新NISAを機に投資を始めた人はそのような状況をイメージしづらいでしょうし、現実にそういった場面に遭遇すると、辛抱しきれずに投資をやめてしまう気がします。

杉村 田沼さんは、株価が下落するシナリオとして、どういったことを想定していますか?

田沼 今の米国株は割高とまでは言いませんが、上昇ペースが速すぎるため、過熱感が高まっています。そのため、ちょっとしたショック的な出来事をきっかけに、20~30%の急落が起こっても不思議ではありません。

トランプ関税の発動でも、地政学的リスクの高まりでも、きっかけは何であれ、売りが売りを呼ぶ連鎖が発生して、想定外の大きな急落が起こる可能性が高まっていると思います。そういった場面で、S&P500やオルカンのインデックスファンドからもいっせいに資金が逃げ出せば、株安がさらに加速してしまうでしょう。

杉村 僕も同感で、シロウトは恐怖に駆られると、一気に資金を引き上げてしまうものです。その動きをAIが探知し、さらに自動的な売りが重なると、凄まじいボラティリティを引き起こすかもしれませんね。

杉村 田沼さんは、株価が下落するシナリオとして、どういったことを想定していますか?

田沼 今の米国株は割高とまでは言いませんが、上昇ペースが速すぎるため、過熱感が高まっています。そのため、ちょっとしたショック的な出来事をきっかけに、20~30%の急落が起こっても不思議ではありません。

トランプ関税の発動でも、地政学的リスクの高まりでも、きっかけは何であれ、売りが売りを呼ぶ連鎖が発生して、想定外の大きな急落が起こる可能性が高まっていると思います。そういった場面で、S&P500やオルカンのインデックスファンドからもいっせいに資金が逃げ出せば、株安がさらに加速してしまうでしょう。

杉村 僕も同感で、シロウトは恐怖に駆られると、一気に資金を引き上げてしまうものです。その動きをAIが探知し、さらに自動的な売りが重なると、凄まじいボラティリティを引き起こすかもしれませんね。

いつ発生してもおかしくない下落相場に備えるためにも、できるだけ早めにインデックスファンドとは異質のものに資金を投じるのが賢明そうですね。インデックスファンドの対局に位置づけられるという点で、アクティブファンドが有力な選択肢の一つとなりそうですが、いかがでしょうか?

杉村 そもそも、アクティブファンドとはどんな運用を行っている投資信託なのでしょうか?

田沼 まず、インデックスファンドはS&P500やオルカン、日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)など、市場全体の値動きを示す指数(インデックス)に運用実績が連動するように設計されています。それに対して、アクティブファンドはファンドマネージャー(運用責任者)が独自の戦略に基づいて投資対象を選び、目標とするインデックスを上回る成績を目指して運用されるのが特徴です。

杉村 つまり、インデックスファンドよりも高いリターンを期待して、ファンドマネージャーに運用の判断をお任せするということですね。

田沼 おっしゃる通りです。インデックスファンドにもファンドマネージャーは存在していますが、特定の指数に連動させるというルールから逸脱した運用は認められていません。そのため、株価の下落傾向が強まっている局面であっても、損失を抑えるために保有銘柄を売るという行動を取れないわけです。

その点、アクティブファンドのファンドマネージャーは下げ基調だと感じたら、速やかに保有銘柄を売却してキャッシュのポジションを増やしておくような対応も可能です。もちろん、必ずしもその判断が的確であるとは限りませんが、まさにそういった局面での対応がファンドマネージャーの腕の見せどころになってきます。

ただ、株式だけを投資対象としているアクティブファンドですと、さすがに米国株が大きく下げる局面では、その影響を受けざるをえません。債券など、別のアセットクラスにも分散投資を行っているタイプのアクティブファンドを選ぶのが無難かと思います。

杉村 実際に資金を投じるアクティブファンドを選ぶ際には、どんなポイントに注目すべきですか?

田沼 アクティブファンドを選ぶ際には、運用を担当しているファンドマネージャーを確認することが大切だと思います。たとえて言えば、ファンドマネージャーは寿司屋の職人さんのような存在です。

投資判断を下す重要な役割を担っているわけですから、誰がそのファンドを運用しているのかはしっかり確認しておきたいところです。しかし、国内に約6,000本もの公募投資信託が存在する中でファンドマネージャーの情報を開示しているのは、わずか2%程度にすぎないのが実情です。

杉村 えっ! それだけしか公表されていないんですか?

田沼 そうなんです。それで金融庁も「プログレスレポート」という調査報告書を通じて、日本の金融機関の姿勢を強く批判しています。海外では、90%以上のファンドがファンドマネージャーの情報を開示していますが、日本は極めて閉鎖的です。

杉村 それは、どうしてですか?

田沼 下手に情報を開示すると、優秀なファンドマネージャーが外資系やヘッジファンドにヘッドハンティングされてしまうからです。移籍するのも当然で、外資系やヘッジファンドでは優秀な運用成績を上げれば、その分だけボーナスが上乗せされて収入が大幅に増えます。一方で、日本の運用会社は固定報酬なので、成果を上げようという意欲がなかなか高まりにくいのです。

日本には優秀なファンドマネージャーが育ちづらい環境があります。

何故か1番の問題は日本のファンドは信託報酬の低さと売買手数料が証券会社の主な収入という原因があります。

信託報酬ご低い分どうしても人件費が低くなりやすく出来る人ほど海外への流出が早まります。

日本でも上位5%のアクティブファンドはインデックスを上回っています。

しっかり回るアクティブファンドを持ってるだけで資産のコア資産を持っておけるこの優位性、インデックスがダメではなく他の商品を持つ事でリスク分散を促せます。

わからない事あれば是非ご相談下さい。

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